借金が返せず借金の倍以上の価値がある自宅を取られたが・・・
Aさんはサラ金に借金が返せなくなったため、担保にしていた自宅を手離すことになりました。
しかし、担保に入れたこの自宅の価値は、借金の返済額の3倍以上なのです。

Aさんはとても損をした気持ちになり、この差額は返してもらえないものかと考えています。
お金を借りる際に貸主が借主に担保を求めるということはよくあることです。
Aさんも担保を求められたのでしょう。
担保には人的担保と物的担保の2種類あります。
人的担保とは保証人とか連帯保証人とかです。
物的担保は今回のように土地や建物に抵当権をつけるということなのです
これはよくあることなのです。
そもそも抵当権とは何なのでしょうか?
Aさんはお金が必要になりました。
お金を借りたAさんとお金を貸す側との間で設定されているのが「抵当権」というものなのです。
Aさんは、これから借金を返済していかなければなりません。返済期限までに、どんなアクシデントが起こるかわかりませんよね。
たとえば病気やケガで働けなくなるかもしれません。
リストラされて収入が途絶え、返済ができなくなってしまうことだってあるかもしれません。
お金を貸した側としては、当然「もし、返済してもらえなくなったら」と考えるでしょう。
この家を競売にかけて、貸したお金を返してください。」と、
この万が一に備えて家を担保に設定することを「抵当権の設定」と言うのです。
Aさんのように自宅を担保にしてお金を借りたものの、期限までに返済できなかった場合、貸した側は担保権を行使して、Aさんの自宅を処分して貸したお金を回収しようとします。
抵当権を設定している場合、競売で換金するのが原則です。
しかし、他に抵当権のついた自宅の所有権を貸主に移転するという方法も認められています。
大事
仮にAさんの自宅の価値が借金額よりも低かったとしても貸主が承諾したのならば、貸主はその差額の請求はできないということになっています。
問題なのは今回のケースのように自宅の価値が借金の返済額よりも高い場合です。
競売で物件が落札されたら、Aさんは自宅を明け渡さなければなりません。
ですが、担保の金額が高ければ取り返すことができるのです。
担保の金額が高く取り返すことができる例
具体的に言えば、Aさんの返済額が1000万円、競売費用が120万円だったとします。
自宅が3000万円で売却されたとしましょう。
売却額から返済額と競売費用を差し引いて、残金が1880万円になります。
残金がある場合はAさんに清算金として返金しなければなりません。
借金額の3倍以上の価値があるAさんの自宅を貸主が清算金を支払うことなく、処分してしまうなどということは許されることではありません。
Aさんはサラ金に対して清算金を払うように請求しなければなりません。
払ってもらえないうちは担保物件である自宅の所有権を貸主に渡す必要はないのです。
ただし、素人がサラ金相手に戦うことはかなり難しいことです。
重要
返済に行き詰ると焦って担保になっている自宅を売りに出す人がいます。
競売にかけてしまうと市場価格より安くなってしまうことが多いからなのですが、これは禁じられていることではありません。
Aさんの自宅は担保になっていて、抵当権がかかっています。
担保になっていたとしても、売るのは自由なのです。
もちろん貸主であるサラ金の許可も必要ありません。
しかし、Aさんが借金を完済しない限り、所有名義がBさんに変わっても不動産上の抵当権は消えません。
ということは、Aさんが完済できなければ前にも言いましたが、貸主は担保権を行使することができます。
この家を処分して貸したお金を回収しようとするでしょう。
これではBさんはたまったものではありません。
そこでこのような担保のついた不動産を取得した人は貸主に一定の金額を支払って、抵当権の抹消を請求することができるとされています。
しかし、この請求は借金した本人や保証人、相続人や承継人が所有者になった場合はできませんのでご注意ください。
抵当権の話が出たので、さらに注意していただきたいことをお話します。
借金を払い終えても抵当権が消えない場合がある
普通は、お金を借りたら「抵当権」を設定します。
そしてその「抵当権」は借金を完済すると消滅します。
しかし、物件に「根抵当権」というものがついているときには気をつけましょう。
「根抵当権」って何でしょう?
お金を借りるたびに抵当権を付け、完済したら抹消する、これを何度も繰り返すのは面倒で効率が悪いと考える方もいるでしょう。
その効率化をはかるために作られたもので、これは主に銀行がお金を貸す場合に設定されます。
銀行が「極度額」という限度額を決定します。
その金額の範囲内だったら、何回借りたり返したりしても、抵当権を設定したり抹消したりせず、最初の設定のままにしておくということです。
これらが設定されたままの不動産を買うと、所有者が自分であるにもかかわらず、最初に設定した前の所有者が借金をするたびに自分の家や土地が自動的に担保になるという怖いことになるわけです。
こういった面倒を避けるためにも購入の際は「根抵当権」には注意が必要になります。
根抵当権抹消をすることはできます。
自分でもできますが、専門家ではありませんから何度も法務局に通うことになり、時間がかかります。専門家(司法書士など)に相談する方が良いようです。
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