友人にカードを貸したら勝手に借金された
Aさんは、大学時代の友人Bさんと部屋をシェアしています。
仲がとてもよかったため、就職先は違うけれど一緒に住もうということになりました。
お互いに家賃や食費、生活費は折半し、快適に過ごしていました。
ところがある日、BさんがAさんに「新しくスーツを新調したいんだけど、お金がないんだ。」と言うのです。
聞けば、最近取引先で知り合った人との付き合いに出費がかさみ、困っているとのこと。
取引先だけに付き合いに手が抜けないと言うのです。
Aさんにもそういった事情は理解できることもあり、また手持ちのお金がなかったことから、「これで買ってこいよ。使うのは5万円までね。給料入ったらすぐに返して。暗証番号は〇〇〇〇。」とBさんにクレジットカードを渡したのです。
ところがその後Bさんは姿を消してしまいました。
貸したクレジットカードは後で郵送されてきました。

不審に思ったAさんが調べてみると、50万円キャッシングされていることがわかりました。
Bさんの携帯はつながらなくなっており、Bさんの会社を訪ねても既に退職したとのこと。
驚いたのは部屋からBさんの荷物がすべて消えていたことです。
「このままでは50万円を自分が払わなければならなくなってしまう。」とAさんは蒼くなりました。
そもそも他人が勝手に使ったのに、自分が払わないといけないのかと考えているAさんです。
どうしたらいいの?
金の切れ目が縁の切れ目とかいうことばがあります。
何がBさんにこのようなことをさせたのかわかりませんが、この事件でAさんとBさんの関係にヒビが入ってしまったのは間違いありません。
よく耳にするのが、財布を落としたり盗まれたりしてクレジットカードを使われ、キャッシングや借金が自分に降りかかってきたというものです。
しかし、これは盗難保険でカバーされているので、キャッシングや借金を自分で返済する必要はありません。
自らカードを貸した場合
「友人だから、親や兄弟だから大丈夫」と信頼して貸したのでしょうね。
しかしこの甘さが後々のトラブルにつながることになるのです。
Aさんが行った他人へクレジットカードを貸す行為自体、会員規約の中で「貸与及び譲渡等の禁止」と定められているのです。
ということは、貸した人に支払いの義務が発生するということです。
たとえば、カードを使った人が家族や同居人の場合や使った人に暗証番号を教えていたり、知られてしまったという場合は盗難保険の適用はありません。
「バレなければ大丈夫!」と思う人もいるかもしれませんね。
今回のケースのようにBさんにクレジットカードを貸して、Bさんが行方をくらますということが起こった場合などにたいへんな問題になります。
こうなったら、さて誰に支払い義務があるのでしょうか?
当たり前と言えば当たり前なのですが、Aさんはクレジットカードを使用したBさんにキャシングした50万円を請求することはできます。
しかし、注意してください。もし、Bさんが払えないとしたら・・・。
クレジットカードをBさんに貸した以上、そのキャッシングされた50万円についてはカードを貸したAさん自身が支払をしなければならないのです。
クレジットカードを使ってATMで現金が下ろされる場合、暗証番号が必要になります。
重要
カード名義人のAさんに支払い義務が生じます。
「スーツ代5万円までね。」などと、今回のように口約束で金額を約束していたとしても、50万円利用してしまえばその金額を全部支払わなければならなくなってしまいます。
Aさんが「勝手に使われたのだ。」と不服申し立てをしたところで、Aさんの支払いが免除されることはありません。
それどころか他人にクレジットカードを貸したことがカード会社に知れれば、クレジットカードの返還を求められることがあります。
注意
信用の問題も発生しますので、渋々支払う人も多いようです。
安易に他人にクレジットカードを貸してしまう行為は危険なのです。
信用しているから、家族だから、そのようなことは関係ありません。
どのような理由があっても貸してはいけません。
今回のようにクレジットカードを他人に貸すという行為は、盗難に遭った、紛失したというケースとは全く状況が違うのです。
貸した方の責任の範疇となります。
クレジットカードを人に貸すという行為は、かなりのリスクを伴うものであるということがおわかりいただけたでしょうか。.
こういったトラブルに遭った場合は、弁護士等に相談された方がいいでしょう。
自分で何とかしようとあわてて動くと、かえって面倒な事になることが多いものです。
あまり他言はしたくないでしょうが、自分ひとりで解決しようとせず、専門家に相談する方がいいと思います。
繰り返しますが、Aさんの「他人が勝手に使ったのに」という言い訳は通らないのです。
自分で払うしかありません。
ですから、こういったクレジットカードや保険証、実印などお金が作れるものは安易に他人に貸したり、目につくところに保管したりしない方がいいでしょう。